●「タッチ」は不思議なマンガだ。野球を扱って甲子園まで行ってしまい、本格的に野球マンガのようでいて、本格的に野球を描いたのは、何年後かの「H2」の方である。●前に描いていて好評だった「みゆき」が男1に女2だったのを、男2女1にしただけだ。●野球はその背景にあるだけのスポーツだったのである。●もっとも最後には「ファンが許してくれないで」ああいった形になってしまったそうな。●だから彼らの甲子園の戦いは最後まで出てこない。●最終回は甲子園が終わった日々で、やたらカーテンコールのように、主要な人物が交差する。●達也はプロ野球に行く気はない。南より遅れた勉強の遅れを取り戻そうと必死である。●風が吹いてきて、彼の部屋を通り過ぎる。そこに何気なく置かれていたのは????
++++++++++++++++++++++++++++++++++
●あだち充は「ちゃんと描かないマンガ家」である。●落語を愛し「言わぬが花」としている作家である。●彼のマンガにはやたら細かい風景が挿入されるが、それはすべて心理描写なのである。